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なぜ「無限」はマン島TTに挑戦するのか

海外のニュースサイトに「無限ヨーロッパ」代表のColin Whittamore 氏へのインタビュー記事があったので要約して紹介します。

「無限」のマン島TTに関しての興味深い話が知れます。

 

元記事より

 

4輪ではそのパフォーマンス部品で世界に認知されている「無限」。2輪ではマン島における電動バイクでの挑戦が有名です。

今年で7年目の挑戦となるマン島TT電動バイク部門”Zero”では過去4年連続で優勝。今年のライダーは2人とも初の顔ぶれとなります。(eMoto Online 注:2018年も優勝し、5年連続!)

Michael Rutter選手は2011年から2013年までのZeroクラスチャンピオンで、代役として抜擢されました。Lee Johnston選手はサードライダーとして登録をされていましたがレギュラーライダーのMcGuiness選手が怪我から復帰できなかったので正規ライダーにステップアップしての参戦です。

 

「無限」とは?

「無限」を築いたのは本田宗一郎氏の息子、本田博俊氏です。

「無限」は4輪のみを扱っていましたが、博俊氏は元々モーターサイクルが好きで、ハーレーに乗っていました。そして2000年にモーターサイクル部門を立ち上げます。最初に作られたのが「無限 MV1000」というハンドビルドのスペシャルマシンでした。

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このマシンは当時としては高価すぎて販売とはなりませんでしたが、マン島TTでパレードランに使われます。残念ながらその時にクラッシュしてしましたが、博俊氏はマン島TTへの挑戦を決意します。そして同時に「無限」の未来を考えた上でEVの技術と知識が必要であると確信、Zeroクラスへの参戦を決めます。

 

「無限」の挑戦

 

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from bennetts.co.uk

「無限」のマン島TTへの挑戦は「無限」の出資であり、すべて「無限」でまかなっています。「無限」のマン島TTへの挑戦はEV研究・開発における成果を試す舞台なのだそうです。電動バイクでマン島を平均速度120mph(約195km/h)で1周することがどれだけ大変かは実際にやってみないと分からない領域です。そしてこの経験こそが公道への最高のフィードバックとなるのです。

「無限」全体からしたらマン島TTは小さな部門ですが、ほぼすべての部品が外注品だった2012年から比べると、現在はモーター、インバーター、そしてパートナーであるMaxell製バッテリーセルを1つのパッケージにするところまでを完全に自社でまかなっています。

マン島を1周時速120マイルで走るのも可能なところまで来ています(eMoto Online 注:2018年のマン島TTで達成!)

 

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from bennetts.co.uk

今年のモデルの特異点は?

実は”神電”は他のチームと比べて最軽量なシャーシなのですがバッテリーパックをつけると最重量となってしまいます。そのために重量について気にする必要があるのですが、今年はそれよりも冷却の改善に集中しました。モーターとインバーターは同じ、バッテリーセルも昨年と同じなのですが、接続方法を変更しています。

バッテリーは370Vを超える電圧を生み出します。その発熱量は凄まじく、また回生ブレーキもバッテリーを充電することで更に発熱してしまうのでバランスが難しいそうです。

インバーターは水冷、モーターは油冷となっています。バッテリーは空冷ですがバッテリーパックの中心にあるセルは冷却が困難です。セルとセルの間を開ければ良いのですがそうすると積めるセルの数が限られてしまいます。

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昨年のマシン from bennnetts.co.uk

今後の展望については

マシンのオンボードコンピューターはバッテリーの状態をモニタリングして車載のGPSで現在位置と残りの距離を測定した上で最適な電力のアウトプットをコントロールしています。「無限」が電動レースを始めたころはライダーがバッテリーの残量を見ながら判断していたことです。

バッテリーは現在リチウムイオンとなっています。ニッケルから比べれば重さは半減、性能は倍となっていますが更に大きな飛躍が必要です。ホンダは市販車での開発をしている水素燃料電池に可能性を見出していますが、何が出てくるかは分かりません。

今後はより大きな企業がマン島TT Zeroクラスへの参戦をしないと大きな発展はないかもしれません。「無限」のリソースでは1年を神電の開発だけに費やすことは出来ません。また新しいことに挑戦するには失敗が許されず、かなり限られた中での開発しか行えていません。

まだ未来がはっきりと見えていないだけに大きな企業は動きづらいのかもしれません(VHSとベータのようにならないように)が、もっと大きな投資がないと前に進まないのも確かです。

マン島TTにおける電動バイクのレースは初期の頃よりも受け入れられています。始まった頃は否定的な観客が多くいたのも確かです。電動に未来はなく、レシプロには到底追いつけないと。しかし、近年では逆に多くの観客に興味を持たれ、実際に「無限」のテントでも色々な質問をされます。プロのチームとして「無限」が存在することにも意味があるのだと思います。

 

元記事

https://www.bennetts.co.uk/bikesocial/news-and-views/racing/isle-of-man-tt/news/tt-2018-why-are-mugen-racing-electric-bikes-at-the-tt-and-what-does-the-future-hold

 

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