Zero Motorcycles, Lightning, Harley-Davidson, FUELLと新しいeMoto(電動バイク)が生れ出るアメリカ合衆国。4輪でもテスラが電動の世界のパイオニアとして躍進しています。そして2輪にも新たな刺客となりうるメーカーが出てきました。その名も”DRUID Motorcycles”。

本当に存在するのか!? Druid
ことの始まりは海外サイトで紹介されていた上の写真のDRUIDというメーカーの車両。
紹介記事
性能から行くと
電動モデルが112kWモーター搭載で出力150馬力、航続距離が193km。
ハイブリッドモデルでは2気筒エンジンと170kWモーターの組み合わせで出力230馬力、航続距離322kmとかなり魅力的です。
そして極め付けは値段がUS$7900(約86万円)!と同等の性能の他メーカーモデルの半額かそれ以下なのです!!

なぜこのメーカーが今まで表に出てこなかったのだろうと調べていると、、、
あれ?同じバイクじゃない??
公式サイトも見つからず、出てくるのは似たような車両の紹介記事のみ。イギリスの世界最大手2輪メディアMCNでも紹介されていました(MCNはすでに削除済みのようです)。
が、しかし、正確なしっかりとした情報が出てきません。
更に角度を変えて調べていると「これは詐欺では?」というサイトに到達
https://www.revzilla.com/common-tread/someone-is-playing-a-hoax-on-motorcyclists-but-why
読んでみると、DRUID自体が存在しないのではと記載。
で、元記事(最初に紹介した記事です)に戻ってみると同じ車両の写真が紹介されています
ん?モデル名が違うけど全く同じ車両?
モデル名で調べていくとこちらは中国のTayo Motocycles(広東大冶摩托車技術有限公司)が”ZONTES”というブランドで販売しているSPORT X-310(310X?)で、スペインや南アフリカにもディーラーなどが確認できたので実際に存在してそうです。因みに価格は約53万円とこちらも魅力的。
この時点でDRUIDがかなり怪しくなってきました。
存在する証拠写真
ここでeMoto Onlineも気になりすぎるので色々と詮索開始
更に気になる写真達が出てきます


まだまだ物足りないので調べ続け、写真の出処をたどっていくと、、、
https://druidmotorcyclecompanyinternational.weebly.com/
公式サイト(恐らく)発見!

フリーでウェブサイトを作れるサービスを使った、オリジナルドメインすらないホームページが公式なのか謎ですが、ここが一番情報が乗っているし、今回の詐欺騒ぎへの返答などもあることから恐らく公式であると。
でも、気になっていた発売日と値段がはっきりと記載されています!
2020年8月 US$14,000(約152万円)!
こんな怪しい内容の記事を書いて良いのか、まして公表しても良いのかと迷いながらの半日。やっと結論にたどり着きました!
1日の記事を書くエネルギー使い果たしましたが、成果が出て満足です。

結果は
詐欺!(いたずら?)
公式と思われるサイトも見つけ、そこに描かれるプロジェクトの概要と展望、さらに登場人物の背景などを吟味しながら、2020年8月の発売、値段と、先の話ではあれ本当の話なんだと思いかけてたその時
ダウンロードした上の写真のファイル名が
” fake-motorcycle-not-real-seriously-not-real_1.jpg “
wwwww やられたよ
ここまで手が込んでいるということはいたずら目的であり、詐欺というよりは愉快犯かと。実際に世界最大手のMCNが紹介していることで目的は達成されているのかも。何が目的なのかは謎ですが、プレスリリースのメール1通でここまで2輪メディアを騒がせたのは見事。逆にメディアは浅はかさを露呈されたのでは。
eMoto Onlineも見事この謎解きに巻き込まれたのですが、終わってみれば悪くはなかったかなと。ZONTESの310Xも知れたし。
世界の電動バイクのプロジェクトを追っていると、出資金や頭金を狙った(悪気はなくても)サイトを目にすることもあります。今回も最初はこの可能性を感じていたのですが、結果的にはいたずらで良かったなと。
大手も手を出していない、まだまだブルーオーションなeMotoの世界。大きく大きく開けていますが、逆に規制もなく自己責任、自己防衛も必要。
また一つ学んだ1日でした。