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Zero Motorcyclesに行ってきたよ!:2輪のテスラ!?eMotoのリーダー

品質、性能、信頼性、価格とすべてにおいて電動バイクのパイオニアとして常に前に進むZero Motorcycles。その本社を訪問にカリフォルニア州スコッツデールに行ってきました!(渡米は2019年8月です。記事の内容も当時のインタビューを元にしているので現在、体制や展望などを変わっている可能性があります。)

Zero Motorcycles 本社入り口。遂にたどり着いた感動は今でもよく覚えています。

電動モトクロスとしてスタート

2006年に元NASAのエンジニアであるニール・サイキ(Neal Saiki)氏によって立ち上げられたZero motorcyclesは電動モトクロスバイクの販売から始まります。

Zero Motorcyclesの前身である、電動モトクロスショップ “Electricross”
右:創業者ニール・サイキ氏 現在はZero Motorcyclesを離れ自身のコンサルティング会社を設立。

初期から信頼性の高いeMoto(電動バイク)の開発を念頭にしてきたZero Motorcyclesの製品は、消費者からだけでなく行政にも受け入れられます。予算だけでなく保守性や安全性など、多くを求められる行政に早い段階で採用されているのはまさにZero Motorcyclesの姿勢そのものの証明となっています。また生産能力もすでに年間1万台以上と、電動バイクの世界では群を抜いて大きいことからもその本気度が伺えます。

Zero Motorcycles公式サイトより

Zero Motorcyclesにとっての未来とは?

eMotoのネットワークでZero Motorcyclesにコンタクトを取ることができ、取材のアポが取れたので実際に本社のあるカリフォルニア州スコッツバレーへ向かいました。製品についてはインターネットで色々と調べることができるので、今回の目的はZero Motorcyclesの展望を聞き出すこと。今後の生産や販売の予定から彼らの見えている未来を知ることで電動の世界の流れを掴めればと。

Zero Motorcyclesの本社は北カリフォルニアのテック企業が数多くあることで有名なSan Joseから約50kmの距離。内陸から海へと抜ける山の途中にあります。周りすべてが峠道でライダーにはたまらない立地です。そしてそこで開発が行われていると思うと走りの性能にも期待が持てます。

本社のドアを入るとまずSR/Fがお出迎えしてくれます。

THEナイス・ガイ!広報ダンにインタビュー

Zero Motorcyclesで広報を担当するダン・クイック氏(Dan Quick)はまさにアメリカン・ナイスガイ。何よりも2輪が好き、そして電動の未来についてを興奮気味に話すのが好印象でした。申し込んだつもりができていなかった試乗についても当日に対応してくれて、先導して楽しい道を走らせてくれました。

Zero MotorcyclesとeMotoについて

社内を簡単に見学させてもらった後に(残念ながら写真はNG)、質問形式でインタビューをお願いしました。

インタビュー開始

現在の最優先の目標は?

我々は電動バイク及び電動機で世界をリードしています。しかしそれは独りよがりの満足ではなく、リーダーとしての責任も理解した上でのことです。これからも責任を持ったリーダーとして電動の世界に貢献したいと思っています。

商品の開発はもちろん、販売量に対する責任や、需要に合った供給など多くのことを考慮しなくてはなりません。そして何よりも2輪の未来を誘う自覚を持って企業活動を続けていきたいと思っています。

また今までの既存の2輪とは違い、様々なライフスタイルのライダーを迎え入れてます。ミレニアム世代や女性など、今まで2輪とは接点のなかったライダーにも受け入れられています。特にカリフォルニアでは多様性が重要視されていますが、それはここに限ったことではなく、世界でも同じことです。Zero Motorcyclesでは多様性を大切にしています。

長期での目標はありますか?
今の段階では開発が最も重要です。常にトップでいることを考えています。電動バイクのマーケットはとても流動的で、そのためにも今進んでいる道を続けて進むことが大事です。現在の私達の成功はもちろん私達の努力の結果ですが、この一瞬の成功ではなく長い目でこの状況を維持するのが我々の目標です。今も将来も目標は同じで、電動バイクの業界で常にリーダーであり続けることと、電動バイクの世界を牽引することです。

電動が内燃機と入れ替わると思いますか?
内燃機がなくなるかという話であれば、私の意見ですが、無くならないと思います。内燃機を持った素晴らしい車や2輪が存在していて、それらを無くすことはありえません。ただ、移動としての手段や、商業目的での利用で電動車両が購入と維持費で内燃機よりも安くなる段階が訪れると思います。カリフォルニアでは2010年にわずか5000台だった電動車両が2018年には60万台にまで、わずか8年で急増しています。

我々は現在、歴史においてとても興味深いタイミングにいます。工業革命が起きたのは今までの歴史において1度のみで、約100年前でした。1910年にガソリンが誕生したときに自動車産業は存在していませんでした。アスファルトも、ガソリンスタンドも、製油所も、機械も、信号もありませんでした。しかしそこから僅か10年でガソリン車が開発され、産業が生まれました。しかもその10年の間に世界大戦も起こっています。

電動でも同じことが起きています。劇的な変化が毎日のように起こり、我々ですら1年後が予測できません。電動化の革新は人類に大きな影響を及ぼします。そしてこのような大きな変化は数世代に1度しか起きないのです!

電動バイクの体験とは?
内燃機と電動機関を比べる唯一の方法は実際に体験して、感じることです。この特別な感覚は言葉で説明するのは難しいです。

まだまだ電動バイクに実際に乗れる環境のライダーは少ないです、言葉で表すとしたら?
自動車の場合、高級車のレクサス、例えばLS500を思い浮かべてください。とても静かな乗り心地でありながらも、強力なエンジンと高性能トランスミッションの組み合わせで直線的な力強い加速をします。他の高級車も同様に、アクセルペダルを踏み込むとシートに押し付けられるような加速をしますが、その加速体験は暴力的ではなく、静かに、エレガントです。 電動体験はこれに似ています。強力な加速を静かに行います。内燃機は100年かけて開発されたことで、静かで高性能、スムーズで直線的な加速を手に入れました。電動機はすでに同じ特徴を備えており、感覚的にとても似ています。自動車メーカーが100年かけてたどり着いた、本物のラグジュアリーの証である静寂とパワーの両立を電動機は最初から持ち合わせているのです。

但し、モーターサイクルとなると、内燃機と電動機の共通点はタイヤが2つあることだけになります。音もなく、匂いもなく、クラッチもなく、ミッションもなく、神の手で後ろから強力に押される感覚です。 電動バイクの感覚に似ているのは、あえて言えば、スカイダイビングです。止まることのない感覚、いつまでも続く加速感。スカイダイビングをやったことがあって、それが楽しかったライダーにとっては、その感覚を毎日、自分の手でコントロールできると思ってください。特にSR/Fなら。

より小さなクラスの車両は開発予定ですか?
現段階で言えるのは、我々が常に新しい製品を開発しているということだけです。
(筆者注:ダンの表情からは何やらやっていそうな感じはしました)

CHAdeMOかCCSか
CHAdeMOは現時点では選択肢にありません。既存のDC(直流)との相性が良くないからです。アメリカ国内には5万から6万 の充電器がありますが、そのうちのわずか5~10%が直流もしくはCHAdeMOです。つまり、90%以上の設備はLevel2(交流200V~)です。10%もない充電施設のために、多くの時間と資金を費やし、マシンを開発することは結果的にコストを車両価格へ転換する必要が出てくるので、ライダーへの負担増となるだけです。それよりも国中の人が使える家庭用電源や一般的な充電設備に合わせた方が利便性も高くなります。

中には入れてくれませんでしたが、ここが新商品などの開発が行われている開発室

新しい市場
新しい市場には3つの条件が整う必要がります。
1つ目はインフラです。ただ単に数ではなく、ユーザーにとって使いやすい環境です。例えばイギリスでは10種類以上の充電器の種類があり、ユーザーは混乱するだけです。ユーザーにとって快適なインフラが整っていることが大事です。
2つ目は補助金です。これは消費者への補助金もですが、行政団体への補助金も大きな要素です。行政で使われる車両も補助金が出されれば電動化は進みます。電動バイクはメンテナンスコストがとても低く、補助金が使われれば購入時の初期費用も抑えることができます。なのでその市場の政府がどれだけ電動化に積極的であるかも重要です。
3つ目は地政学的要因です。Zero Motorcyclesの車両はカリフォルニアで製造されます。物理的にカスタマーサービスやアフターセールスが困難となる場所での展開は考えられません。

モーターサイクルメーカーとしての立ち位置は、ホンダ?ドカティ?カワサキ?
その質問には答えたくありません。比べられるのも、同じような評価を受けるのも嫌だからです。消して私達がそれらよりも優れているからではなく、それぞれが素晴らしい個性を持っているからです。確立したメーカーである彼らと同じように比べられるのは光栄ですが、我々の持つ特徴もまた大きく違います。一つ言えることは、私達の商品はすでにプレミアムブランドの商材を扱っているディーラーに好まれていることです。BMWやドゥカティなど、プレミアムな顧客を持つディーラーでサービスのレベルが高いディーラーです。

現在の主な顧客層は?
殆どのライダーが新しいもの好きで、高学歴、高収入が多いのは事実です。これは商品が高価格であることにも起因します。それでも既存の顧客は若い心とデジタルに対する理解を持つ若者から年配までの男女のライダーと、1つのカテゴリーに入れるには幅が広すぎます。

メインの市場はどこですか?
2018年に初めて、ヨーロッパ市場でZero Motorcyclesの車両がアメリカ市場よりも売れました。Zero Motorcyclesは現在100カ国以上で販売されています。 販売の大部分はヨーロッパとアメリカで、半々ぐらいの割合です。

充電施設や充電器の販売など、充電にかかわるビジネスに進出する予定はありますか?
現時点ではありませんが、未来は分かりません。我々はモーターサイクルカンパニーであり、モーターサイクルを製造しています。とはいえ、電力会社のトラックのクレーンの動力の開発を依頼されてもいます。既存のクレーンはディーゼル発電で動いていますが、環境的にも騒音的にも良いものではなく、かつ価格も安くはありません。また作業中は発電機が常に動いていないといけません。そこで解決策としてZero Motorcyclesの製品と知識が求められました。プロトタイプの製作はすでに終わり、プロジェクトは続いています。これは実際に電動バイクを製品として販売するまで予想のつかなかった広がりです。現時点で充電施設などに関わる予定はありませんが、次になにが起こるのかは私たちでも予測はできません。

新しい市場への参入について
Zero Motorcyclesは世界で人気で常に引き合いがあります。特にSR/Fの世界中からの問い合わせは予想を遥かに超えて、現在まだ対処をしきれていません。嬉しい悲鳴です。

ディーラーやインポーターを選ぶときに注意している点はありますか?
ディーラーとインポーターには違いがあります。

ディーラーは未来への投資をする感覚が必要です。
セールスは新しい、常に進化する電動バイクの技術を学ぶ必要があります。特に電動バイクの技術は常に速いペースで進化をするので今日学んだことが来年には変わっている可能性が大いにあります。またディーラーにとってもこの投資が市場をリードするのに必要なことである認識も大事です。ラインアップも幅広く、すでに市場にも数万台が出ていることから、それぞれの車両の特性を理解し、学ぶことも重要です。顧客にとってどの車両がニーズに応えるのを提案できることで、様々な顧客層を取り込むことができます。

インポーターについては上記のディーラーへの要求に加えて、企業を運営する規模が大きく、効率的でなくてはなりません。小さな製造業を動かせるぐらいの企業力と効率性、確立した財務体制、常に先を予測する習慣、コスト効率、カスタマーサービスなどディーラーよりも多くの要素が絡んできます。

ディーラーのメカニック向けのトレーニングは行いますか?
はい。ディーラーやインポーターへはしっかりとサポートを行います。

メカニックはモーターやバッテリーの中に手を入れることはありますか?
ディーラーがモーターの中に手を入れることは無いと言い切れるぐらい、殆どないと思います。特にモーターは必要が生まれないと思います。メンテナンス中に不慮の事故が起きないよう、我々は車両内の電圧を人命に関わらない以下に抑えています。他のメーカーではとても電圧の高い電動バイクがありますが、Zero Motorcyclesではそれをやりません。

日本の大手4社(ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハ)がEVに進出したら、負けない競争力はあると思いますか?
もちろん歓迎します。過去13年でコンシューマー向けの市場を産み出し、確立してきました。一部の人にしか手に入らない商品ではなく、一般の方にも購入できる電動バイクを商品化しました。そして実際に実現しました。実際、他のメーカーの参入も見込んでいます。私は歓迎します、なぜならより多くの電動バイクが登場することで、特に日本ブランドからであれば、ライダーにとってより多くの選択肢が生まれるからです。認知、技術、インフラ、より多くの興味が生まれることで市場は盛り上がります。日本のメーカーが一日でも早く電動バイクを販売してくれることを願っています。一人のライダーとして、これ以上ない楽しみはありませんから。

インタビュー終わり

編集後記(2021年5月)

Zero Motorcyclesを訪れて、本社の中を見て、話を聞いて、実際にSR/Fをカリフォルニアで乗り回して。本当に幸せな半日でした。このインタビューの後にはSR/Sも発表され、ますます電動モーターサイクルの王者としての道を進んでいるZero Motorcycles。日本でも手に入るようになり、実際に跨ったり、試乗をした人も増えてきています。企業としても前に進む本気度が伺え、頼りになる兄貴という印象でした。従業員ともコーヒー片手に話す機会があったのですが、皆が電動の楽しさとモーターサイクルの快感を知った人たちで、日本の峠道やバイク文化、ツーリングコースなどについてを聞かれました。電動も内燃機も関係ない、ライダー同士の交流が出来て異国の地でも安心したのを覚えています。Zero Motorcyclesのオーナーズグループではパーツ供給やアフターサービスについて不満が出る場面も見受けられますが、電動バイクというライダー自身も取り扱うディーラーも未知の存在なだけに、暖かく見守る、余裕のもった付き合いは必要かもしれません。それでも時代を先取りできる感覚はSR/Fでしか味わえないと思います。

次回はLightning Motorcycles CEO リチャードさんとのインタビューを掲載予定です!お楽しみに

Zero Motorcycles公式サイト(英語)

https://www.zeromotorcycles.com/

XEAM (SR/F販売元)

https://www.xeam.jp/zero/

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